2009年02月28日

白洲次郎


sirasu.jpgさっき、NHKでやっていたスペシャルドラマ『白洲次郎』だけど、実によかった。

白洲次郎って、実はあまりわかっていない部分が色々あって、そこを「創作で埋める」みたいなスタンスで作ったようなんだけど、そこがうまく行ってるなー。白洲次郎って、NHKが有名にした人間だから、絶対にかっこよくしてくると思ったけど、実にかっこよかったなー。

ま、この人のかっこよさのピークは、有名な「ジーパンはいて足を組む」という一瞬だろうから、まだまだ青臭い感じだったけど、期待させてくれました。

やっぱカッコイイ人ってのは、全部がわかってないほうがいいな。そういう意味ではこのドラマはファンタジーかもしれない。でもいいんである。

役者もよかった。中谷美紀が白洲正子をやってたけど、この人は近代史に合うね。普段はそれほど好きな役者って感じもしないけど、明治、大正、昭和にあうわ。

原田芳雄がやった吉田茂もよかった。吉田茂の豪放さを示す話として、自分の部屋に落語家を招いてひとりで見るってエピソードがあったけど、こういうのうまいね。嘘かもしれんけど、実に吉田茂らしい。

岸部一徳の近衞文麿は、まさにハマリ役。顔も実に似ているなー。

もちろん伊勢谷友介の白洲次郎もよかったなー。ずばりこのキャスティングは勝ちでしょう。あと、来週と再来週の合計3回あるのね。こういう枠は増やして欲しい。90分×3本とかいいな。人物にスポットを当ててじっくり見られるけど、飽きない感じ。もう飽きた「天地人」の代わりに、こういうドラマをやって欲しいくらい。石原莞爾とか渋沢栄一とか近代の人やって欲しいなー。

ま、そんなわけで次郎よかったよ!
posted by okataco at 23:17 | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月17日

落語の国からのぞいてみれば

最近、書評を全然書いてなかったけど、ここに書評を書かないと書棚に片付けられない性分になってきたので、頑張って再開します。

てなわけで、まずは敬愛する堀井憲一郎さんの新書。ずいぶん前に出たヤツですが、実に良書でした。

もうライフワークのごとき寄席に通いまくっているホリイさんが、落語の世界(つまりこれはお江戸時代の世界かな)における常識を上手に説明してます。

たとえば、満年齢と数え年の違い。

赤ちゃんが生まれると1歳。そして正月がくるとみんな一斉に年をとって2歳になる。

これが数え年の説明で、こんなことは誰でも知ってる。昔は数え年でカウントしていたけど、今は満年齢で数えている。

ここまではみんな知ってる。ただ、じゃ、なんで昔は数え年でカウントしてたの? こう訊かれるとあまり答えられる人はいないと思う。

そんな昔の時代の常識の「なんで?」に答えてくれているわけです。

ちなみに、年齢については、「満年齢は個人を中心にした数え方。数え年は社会から見た数え方」という違いがあって、昔の社会では、個人よりも社会を重視していた。だから昔は数え年を採用していた。今、競走馬は二歳馬とか三歳馬と誕生日など無視して数えているけど、これと同じだったと。

「満年齢は、あくまで個人の話。個体として丸一年、生きたから一歳。他人から見ればどうでもいいですよね。それが他人にも気にされるのは、国王と、その周辺の貴族だけだ」

なるほど。あと、数え年のほうが、昔の偉人などの年齢を計算するのに便利って話も頷ける。数えなら引き算いっぱつだけど、満年齢にしようと思うと、生まれた日と死んだ日を把握しなければならない。徳川家康が天ぷらを食べて死んだ日はいつ―ーこんなことを調べていかないと満年齢は算出できない。数えのほうが便利だとホリイさんは言ってます。

ちなみに「豊臣秀吉の誕生日は1月1日」という「さすが偉人は生まれた日も目出度い」という数字がありますが、これも百姓出の秀吉は誕生日が記録されていなかったから1月1日になっているようだ。ほへー。

んで、この数え年の話のようにいろんな江戸の常識について書いてるんですが、「一里」という距離も人間が歩く距離をベースにされていたなんて話も、ふむふむって感じでした。

ホリイさんが、あとがきにこんなことを書いてた。

「知ってる人にとってはすごくあたりまえのことを、懸命に説明しつづけたばかりだなぁ、という気分でもある。内角をえぐってから外角に投げるとバッターは打ちにくいんだよ、と説明している心持ちだ。小学四年生の甥っ子ならきらきらと聞いてくれるだろうが、野村克也と古田敦也も一緒に聞いてそうで、ちょっとひやっとするなあ、という感じですな」

ふむ。でも、こういう甥っ子に説明する本って大切だと思った。本を作っていると、ついつい野村克也をうならせるものを作ろうと思いがちだけど、甥っ子という読者がいることも忘れちゃいけんなーと思った次第。甥っ子がきらきら聞いてくれる本。この言葉、胸のポッケに入れておきます。


posted by okataco at 17:45 | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。