2009年07月23日

カレー付きの絵本


2009-07-03.jpg「食となる命」をテーマにした本は、これまでにもたくさんあったけれど、これほど温かく、かつダイレクトなものは、なかったのではないでしょうか――そう思ったのが、この『なかのりさん。ありがとう』です。

この「なかのりさん」というのは、滋賀県近江の繁殖農家である後藤さんご夫妻が育てた牛さんで、なんと19頭もの近江牛を産んだそうです。

22歳という記録的な長寿だったなかのりさんは、このまま食肉センターに送られると安物の牛として粗末に扱われてしまう。そこで、この「なかのりさん」への“はなむけ”として、美味しく料理して食べてもらおう――そんな思いで、この「なかのりさん」を使った美味しいレトルトカレーが作られることになった。それが「近江牛専門店が極めたカレー」なんですが、この本には、このカレーが付いているんです(限定500個)。それで、この本には、この「なかのりさん」の物語と、その最後を見守る人たちのお話が記されている。

「なかのりさん」が出荷されるとき、獣医の先生のこんなお話があったそうです。
「食肉センターへ出荷される牛さんのなかには、とても嫌がって抵抗する子もいるけれど、そんな時、おじちゃんは牛さんの目を見て話しかけてあげるの。自分だっていつか必ず死ぬけど、お前のように立派に人の役に立って死ねるかどうかは自信がない。
お前は偉い、立派だよ。皮もお肉も、ひとつも無駄にせずに役立ててくれるんだから……。そう言うと、牛さんは納得してトラックに乗ってくれるんだよ。命あるものはみんな、誰かの役に立ち、誰かを幸せにするために生まれてきたってことが、牛さんにもわかるんだね。お肉を食べるときは幸せな気持ちで美味しかったと言ってあげてね」

こういったお話を読んだ後、このレトルトカレーを美味しくいただきました。実に雄弁な本だと、いたく思った次第。

編集や原稿や写真といったもののプロではない人が、情熱で作った本ですが、実に素晴らしかったです。

この本を作ったのは、京都の焼肉屋「南山」の楠本さん。この「南山」さんは、短角牛や近江牛をすごくまじめに提供されているところです。京都に行った際は、ぜひ立ち寄ってみてください。ここに行けば、この本が買えるのかな? カレー付きは数に限りがあるからずっとあるわけじゃないだろうけどね。

※追記 こちらのページからカレー付き絵本が買えるようですね。

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2009年07月10日

学校の「国語」と、社会の「国語」

国語、数学、英語、理化、社会といった学校で習う学問は、なぜ習うのか、本当の魅力とはどういったところにあるのか――。そんな観点で、各ジャンルの専門家が綴った『16歳の教科書』を読んでみたけど、たしかにこれはいい本。16歳だけでなく、大人にとっても新しい視点をくれると思います。

んで、この本の中で「国語」について金田一秀穂さんが、書いているんですが、個人的に思っていたことと、通じることを書いておられたので、ご紹介しておきます。
まず、この部分。

(国語の授業は)意外にも文法をおろそかにしている反面、語彙はとてつもなく重要視されます。一般に語彙が豊富な人や難しい言葉を使う人ほど、「あの人は国語力がある」と評価されますよね。
そしてコミュニケーション能力のほうでは、相手に失礼がないかどうかといった、対人的配慮が重視される傾向があります。
これが世間でいうところの「国語力」の正体なのです。
じゃあ、どうしてこんなにアンバランスなのかと考えると、ひとつには「そのほうが試験問題をつくりやすい」という理由があるのでしょう。
学力というものは、数字にして測れなければ評価のしようがありません。
そして数字にしようとするなら、記憶力を測ることがいちばん簡単です。
ですから、国語という科目は、言語能力とコミュニケーション能力のうち「測れるもの」だけを取り出して作られたもの、と考えてもいいのかもしれません。


ふむ。国語が得意だからといって、必ずしも文章が上手であったり、コミュニケーション能力に長けているというわけではないというお話。無論、それでも国語が得意だった人のほうが、文章に対する抵抗がないから、上手い人が多いだろうけど、必ずしもこの関係性がイコールではない。

んで、やっぱりそれは「国語の授業」で求められることと、実社会で求められる「国語的な作業」が、けっこう違うからですね。

「以下の文を読んで40字で要約しなさい」といった国語の問題がよく出てた。でも、実社会でこんな要約した文章を書くことってあんまりない。無論、そこに何が書いてあるかがわからないようでは話になんないけど、要約する作業の反復練習って、あまり必要ないかもね。それよりは、「小見出しをつける練習」をするといいと思う。

そこに書いてある文章に、ちょっと魅力的な見出しを付けてみて。こんな作業のほうが、仕事では役立つんじゃないだろうかね。

あと、作文について、金田一さんは、こう書いてた。

小学生に作文を書かせてみると、みんな「印象」ばかりを書いてしまうんですよ。
「今日は遠足に行きました。お花がきれいでした。とっても気持ちよかったです」
といった感じですね。
これは中高生になっても同じで、いわゆる国語というものがあまりにも情緒的になりすぎているところがあります。
つまり美しい文書や感受性豊かな文章を書けることが、国語力の証のようになっている。ベタベタした、甘ったるい文章が「美文」と思われるようになっている。
でも、言葉にとって大切なのは、見た目の美しさではありません。なによりも先に「正しさ」なのです。
美しさや情緒なんて、しょせんはご飯のふりかけみたいなもので、ベースとなるのは性格無比な文章なんですよ。
《中略》
とにかく情緒を切り捨てること。
事実と論理だけで文章を組み立てていくこと。
それこそが、ほんとうの国語力を高めていくポイントなのかもしれません。


これも、うなづくところが多い。

学校の作文って「僕は、こう思います」って書くと褒められるよね。「あなたの感想が入ってて、いいですね」って。でも、実社会で求められる文章で「あなたの感想も入れて」って言われることって、あんまりない。

まず、ビシッと事実を書く。この訓練も、どっかでしたほうがいいように思う。ま、この「学校の国語」と「社会の国語」については、これからも考えていこうかと思っております。おしまい。


posted by okataco at 12:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月07日

「だるまさんが」


darumasanga.jpgこの『だるまさんが』って絵本は、かなりスゴイっすよ。

チビが生まれてから、奥さんが今まで相当な数を図書館からせっせと借りてきたんですが、そのなかでも群を抜く笑わせるパワーに脱帽しきり。これはいい!

なにがどういいのかは、説明のしようがないですが、赤ちゃんが超高確率で大笑いすること請け合います。未読の人はぜひゲットして、赤ちゃんを大笑いさせてみてください。

そんで話は代わるけど、こないだ初めて2歳児にジブリを見せてみました。

『となりのトトロ』

むかーし、高橋源一郎さんが週刊誌のコラムで、『風の谷のナウシカ』を3歳くらいの息子がもう熱中しまくりで見ると。そしてそれは物語じゃなくて、そこに描かれている風景を好きになるんだ〜とか、たしかそんな話を書いてたんですよ。

んで、それを読んでからジブリを見せるとどうなるのか――ってのが、ちょっと僕の中に関心事としてあったもんだから、ツタヤで借りて見せてみたわけです。

これがなかなか反応を見てるのが面白かった。

最初のうちは、なんか「ツマンナイ」って感じで「これイヤ!」とか言ってたんです。たぶん、「おかあさんといっしょ」とか「いないいないばあ」をよく見てると、短い時間にどんどん展開する物語に慣れているものだから、こういう長い物語への耐性がないんでしょうね。だからちょっと退屈する。

でも「まっくろくろすけ」とか「トトロ」が出てくると「わー!」って感じで、見入るようになってね。でも、ちょっと恐かったりもするもんだから「もう見ない!」とか言って隣の部屋に逃げていったと思ったら、またタタタと走ってきて続きを見る。

もう物語の筋を追うって感じではないんだけど、その場面、場面をすごく楽しく見てました。

いちばん好きだったのは、トトロと姉妹が、いっしょに庭に蒔いた種を「ふん!」と言って芽を出させるシーンかな。大喜びしてた。あとネコバスは、最初恐かったみたいだけど、やっぱ楽しいみたいね。いちばん恐がってたのは、メイちゃんが一人で歩いているときにヤギに出会って「このトウモロコシはお母さんのだからね」って言うシーン。ヤギがメチャクチャ恐かったみたい。

印象に残ったセリフは「あなたはだれ?」

トトロにメイちゃんが初めて会ったときに言うセリフですが、これが記憶に強くインプットされたようで、今でも「あなたはだれ?」と、何回も訊いてきます。

ま、そんな感じかなー。トトロはもうツタヤに返しちゃったけど、また見せてあげようかなとも思うのでした。

※今日の印象深い言葉。
窓をちょっと開けたクルマに乗ってたら「かぜがよけてくね」だって。


posted by okataco at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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