『ナガオカケンメイとニッポン』
「D&DEPARTMENT PROJECT」をされているデザイナーのナガオカケンメイさんの本。いい本だった。ナガオカさんの仕事については、ま、各自調べて欲しいですが、デザインというものを、もっと日常で、もっと使えるものとして接して欲しい。そんな感じなのかな。とにかくスタンスがいいです。ものを見るスタンスもいいです。僕も最近「ニッポン」を意識していますが、そういった視点も心地よい。ブログの文章を上手に編集している本で、下手に評するのよりも一文紹介したほうが伝わるので、そうしておきます。
《家具業界に限らず、自動車も一見、昔のなごりの「お客様至上主義」で「好きな色を選べますよ」としていたけれど、それによってメーカー自体も狂ってきた。確実に「私たちのおすすめはこれです」と提示する責任とセンスの時代が来ると感じます。この考えを確かなものとして説明するには、僕の能力は足りなさ過ぎます。立証はできませんが、確実にそうなっていくでしょう。グローバル化という言葉は、もしかしたら、「クール」に次いでアメリカが日本に植えつけた戦略のひとつかもしれません。日本人の中に「グローバル化」への焦りが芽生え、すべてのことを「とにかく勝つ」みたいに焦り、もともと持っていない戦い方になっていった。日本政府はバランスを崩しているわけですから、国民である僕らが影響を受けないはずはない》
ふーむ。なるほど。
『オトン、サッカー場へ行こう!』
帯は「サッカーは老後問題を解決できるか!?」。グッときました、この文句。僕も「サッカーは子育てを救う!」って思ってまして。著者の吉崎エイジーニョさんが、定年退職後、元気のないお父さんをサッカー場に無理矢理連れて行く。最初はお弁当くらいにしか興味を示さないお父さんが、最後にはコアなサポーターとともに自分の北九州のチームを応援するようになる――。こんなお話。正直言って、この著者がもっと大人になれば、より深みが出たのになぁという気はします。もっとお父さんとの距離感が違えば、僕はもっと感動できたと思うけど、そこは、ま、僕の感じ方の問題でね。それよりも何よりもこのテーマが素晴らしいじゃないですか。この老後問題とか、家族問題をサッカーは救う力があるんじゃないかと、僕も本気で思ってます。ね、こう思っている人、多いっすよね。ま、サッカーの話は、開幕近づいたらまた書きます。
『作家の酒』
いい本ですわ。これ。井伏鱒二、三島由紀夫、黒澤明などなどいったメンバーの酒にまつわるエピソードや文献を紹介して、きれいなカラー写真で酒場、肴を紹介するという贅沢な本! だけどもソフトカバーで読みやすいし、寝る前にパラパラやるのに最高だね。これで1600円は安いっす。それにしても編集者は最高に楽しいでしょうねこの本。編集は清水壽明さんか。昔の僕なら絶対に原稿頼みに行ったろうな〜。思うのだけど、仕事の本(ま、儲けるとか成績を上げるための本)ばかり作っている人は、3冊売ったら趣味の本作ってもいいよ〜ってなんないのかな。なんかこういった作っている人が楽しそうな本を編集することで人を集めるパワーになったり、いいことあるような気がするんだけどね。