2011年06月28日

週刊誌時評『週刊現代』(7/9)

top_hon_03.jpg今週の『週刊現代』が、原発関連記事で、考えさせる記事をいくつか書いていたので、久しぶりに「週刊誌時評」を。
で、週現の主な記事はこちら。

1 もっと細かく全国1000ヵ所を独自調査 実測数値を全掲載 
2 福島の「放射能汚染」を調べ続ける科学者・木村真三氏

3 鎌田慧「僕は原発を止められなかった」
4 すべてはここから始まった
■キュリーとベクレル、その呪われし運命


1は、以前から独自に線量計をもって各地の放射線量を測っていた週現スタッフが、より細かく測定したレポート。千葉や都内の高線量地域のことなど報じており、なかなか貴重なデータか。そんななか、元京大原子炉実験所講師の方のコメントに驚いた。「原発には必ず高い煙突がありますが、あれは基本的に、煙ではなく放射性物質を出すためのものです」。なんでも、いくら頑丈に作っても、放射性物質をまったく出さないようにはできないという。だから高い煙突を作ってそこから出すことで、希釈されることを狙っているのだそうだ。事実、放射性物質を高いところから放出するためか、週刊現代が調べたところ浜岡原発3キロ地点でもそれほど高い線量は出ていない。ふーむ。

2は、放射線衛生学の研究者・木村真三さんの記事。木村さんはNHK教育で放送された「ネットワークで作る放射能汚染地図」でもご存じの人多いと思いますが、独立行政法人に勤務していたけど、あの事故の後、個人的な調査を禁じられたので辞職して独自で調査されている方。今は、完全ボランティアで各地の線量を測り講演など続けておられるという。現地の方に「作付可能になるまでものすごく時間がかかる」と説明するのは「本当に辛い」とのこと。国がやるべきことなのに頭が下がる。木村さんの著書、ぜひどこかで出して欲しい。印税が活動の手助けになればと思う。

3は、長年、反原発のルポをされてこられたルポライターの鎌田慧さんの寄稿。取材のなか、もともと原発反対だった人たちが、どうやって原発賛成へと変わって行くのかを書いておられて、考えさせられる。そう、原発問題って、結局、地方の雇用とか産業の問題につながるんだよね。元気で仕事もたくさんある地方には原発はないもの。「原発建設のターゲットとされているのはいずれも過疎地で、行政から切り捨てられた土地です」。このあたりも考えなければいけない。

4は、放射能の原点ともいえる、二人の科学者とその当時の物語をわかりやすく書いた良記事。今、毎日のように耳にする「ベクレル」というのは、19世紀末のフランスの科学者アンリ・ベクレルから採っているんですね。彼が人類史上初めてウランが発する放射能を発見。そして伝記などで知られるキュリー夫人は、ラジウム、ポロニウムというふたつの放射性物質を発見して2度のノーベル賞を受賞したわけですね。このあたりの事実は、知っていても、その後のことを知らない人は多いと思う。
結論から言えば、ふたりとも被ばくが原因でこの世を去る。キュリー夫人が遺した研究ノートは放射能まみれで、今でも触るのが危険だという。このように放射能が発見された当時は、その危険性が認識されておらず人類に幸せをもたらす魔法の物質と喧伝されていて、驚くべきことに放射性クリームとか放射性歯磨きなんてのも商品化されていたという。こういった話とともに、心に残ったのが、日本最初の原発・東海1号が輸入されたときの物理学者・武谷三男の言葉だ。
「原発は、危険だと言う人が扱ってこそ、辛うじて安全なものができる。安全だと言う人が扱えば、こんな危険なものはない」
先人のあまりに説得力に満ちた言葉ではないでしょうか。言葉の意味をもっと噛み締めよう。
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2011年06月22日

3・11東日本大震災 君と見た風景

3月11日の震災のとき、僕は事務所で仕事をしていたので、揺れが治まったらすぐにネットで情報を見た。
宮城沖震度7。
あの揺れを東京で体感しているときに、これで震源の最寄りが東京じゃなければ、相当な被害が出るだろうと思っていたのだが、東北はあの東京の揺れより数段大きい。
そう知ったとき、咄嗟に「大丈夫ですか?」とメールを送ったのが、仙台に住んでいるトシさんこと、平井寿信さんでした。
トシさんは、ブログの仕事で知り合ったイラストレーターなんですが、ちょうど同じ時期に子どもが生まれたので、「いっしょに育児本作ろう!」と誘ってできたのが『赤ちゃんを爆笑させる方法』。その本を作っているときには、うちの家族で仙台に遊びに行って、実家でご飯もご馳走になったり、子ども同士で遊んだりと仲良くしてたんです。
そんなもんだから、宮城震源と知ったときは、心配で「大丈夫?」と問い合わせてみた。すると、そのときはすぐに「大丈夫です」とメールが返ってきたのだけれど、本当に大変だったのは、これからだったんだよね。というのが、手に取るようにわかる本が出ました。それが、トシさんの著書『3・11東日本大震災 君と見た風景』です。
仙台で体感した揺れはどのようなものだったのか。市内で働いていた奥さんとどうやって再会したのか。その後の暮らしぶりはどうだったのか。今回の震災では、津波の被害を受けていない市街地の情報は、あまり出なかったけれど、この本では、そのあたりが克明に描かれています。
『言戯』というイラストブログを、もう何年も続けているトシさんだからこそ、細かいところまで目を配って、リアルな震災の一面を描けたこの作品。ぜひ、多くの人に見てもらいたいなと思うのでした。


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2011年06月19日

9カ月

kana9.JPGしばらく書いてなかったですが、久しぶりに子どもの話を。

下の子が、今、9カ月になったんですが、可愛いなー!

上の子がちっこいときに「今がいちばん可愛いですねー」と
6カ月でも9カ月でも1歳でも1歳半でも2歳でも言われたので
「いちばん可愛いのは、いつやねん!」と思って意識的に観察した結果
ボクは、赤ちゃん的にいちばん可愛いのは9カ月だと思った。

それは、なぜかというと、いちばん太っているからですね。

赤ちゃんは、寝てばっかいるときは、ブクブク太っていく。
でも、ハイハイから歩くようになると、みるみる痩せていくというか
赤ちゃん体型から幼児体型に変わっていく。

で、赤ちゃんといえば、やっぱ太っているのが好きなので
その太りからのピークでありながら、ちょっとハイハイしたり
手をパチパチしたり、「あー。うー」言い始めるこの9カ月くらいが
可愛いんであります。見てて飽きない。

さて、そんな下のムスメの特徴をいくつか。
〇お兄ちゃんが好き。
お兄ちゃん、好きだねー。別に特別かわいがっているわけでもないし、オモチャ触ったら「ダメ!僕の!」って怒ってばっかりいるけれど、お兄ちゃんの近くに行ってペタペタ触りたがってニコニコしてます。不思議〜。
〇ヒモが好き
下の娘が好きなのは、ヒモですね。ボールや積み木よりもヒモが気になるみたい。電灯のヒモとか大好きです。
〇みんなで「あー」で笑う
前に本を書いたときには、思い至らなかった笑わせ技がこれ。みんなで「あー」って言うと、「なんだ?なんだ?」って顔しながらニコニコして、自分も「あー」って声を出す。これ可愛いから、赤ちゃんいる家でやってみて〜。

さてさて。赤ちゃんといえば、このあいだ絵本作家の松岡達英さんのところに取材に行ってきた。カエルとかバッタが飛び上がる様を楽しく描いた『ぴょーん』という絵本が大人気で、その話を聞きにアトリエのある新潟県の越後川口まで。ま、その模様は『別冊宝島』に載っているからそっちを見てほしいのですが、その原稿に書けなかったのが、松岡さんが『震度7』という絵本を描いていることだ。
松岡さんのアトリエがあるところは、新潟中越地震のまさに震源地で、この地震での体験をこの絵本に綴られておられる。やっぱ体験した人の話は深いし、また絵本でもあるので子どもにもわかりやすいから、これは多くの人に見てほしい本だと思った。近来、東京にも来るんではないかと言われる直下型地震だけど、家が持ち上がるような衝撃なんですね。こういった詳細が描けるのも、やはり体験者ならでは。体験した人が、それを後世に伝えること
にはとても意義があると思う。
で、「赤爆」という赤ちゃんを爆笑させるユニットの相棒である「言戯」のトシさんが、東日本大震災のことを綴った本が出たのです―と続けたいのですが、長くなったのでこの話はまた近々書きます。


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2011年06月10日

原発のウソ

危険性を訴えて40年。反骨の学者・小出裕章先生の『原発のウソ』(扶桑社新書)読了。

まさにリアルホラー。書いてあることも怖いし、こういったことを知らなかったことも怖かった。このなかに、1999年、東海村の核燃料加工工場での事故で二人の方が、読むのも辛くなるほどの壮絶な体験の後にお亡くなりになられた話が出ているんだけど、こういった話を知らなかった。
顛末はNHKのドキュメンタリーなどにもなっているそうなんだけど、やはりメディアの扱いも小さかったんだろう。反原発報道は、この本を通してもわかるけれど、やはり黙殺されてきた。
そして僕も含め、多くの国民は「遠い世界の話」と思ってきた。
だからこんな大事態があっても、「遠い世界の話」だったんだよな。こんなに怖い原発だったのにね。

で、今回の件、政府は、事実を正確に国民に伝えなかったこと。大メディアも単に政府の広報機関となり結果として事実を伝えられなかったことを、もっと問題視して欲しいと思う。

先週のNHKスペシャルで、なぜこれほど事態が深刻化したのかというドキュメンタリーをやっていたけれど、政府、東電、保安院あたりの人たちは完全に事態の深刻化を知っていたわけで、こないだしれっと発表したメルトダウンにしても、完全に認識に入っていたのに「していない」と言い続けたことは、何を言っても信用されないということにつながっていくと思う。

これって大問題。

過去に僕も大メディアや政府発表を疑ってみよう的な本を作ったこともあったけれど、でも心のどこかで本当の有事にはしっかり正確に伝えてくれると思っていた。でも違った。これから情報は本当に能動的に取りにいかないといけないものになったと思う。でも、これって多くの人とって難しいのだから、この国の発信システムについては、どこかできちっと精査して改善することを強く望みたい気持ちです。

あと、この本の終わりのほうに、核のゴミの処理方法というのは、今の段階でもまったくわかっていないという話が出てくる。とにかく土を掘って埋めて、放射能が漏れださないか管理し続ける。それも300年という期間。こんなのどこの場所でも断りたいだろうから、受け入れてくれるところには補助金をドーンと払う。おかしいよね。

このゴミの問題も、そもそもの危険性も、資源としての脆弱さも、地震大国に建ててしまうことも、実は電力は原発を止めても足りていることも、どこをとっても原発を続ける理由はないと、この本にはある。国や大企業の都合優先で進められてきた原発政策については、ネガティブな情報を知らない人は多いから、ぜひこの本を読んで自分で判断してみよう。やっぱり原発は必要なのか。それとも不要なのか。

小出先生が、本文の中で、「原発を止めるというのなら、代わりのエネルギー案を出せ」とよく言われるという話を紹介して、こう言っておられる。

<「代替案がなければ止められない」というのは、沈没しかけた船に乗っているのに「代替案がなければ逃げられない」と言っているようなものです。命よりも電気のほうが大事なんですね。
原発は電気が足りようが足りなかろうが、即刻全部止めるべきものです。
そして全部の原発を止めてみた時「実は原発がなくても電力は足りていた」ということに気づくでしょう」>

*ちなみに、震災直後に電力不足に陥っていたのは、原発が止まったからではなくて、いくつかの火力発電所が被害を受けて動かなかったからだそうです。

「なんかおかしい」「ちょっとおかしい」と思ったことは、「すごくおかしい」ことになっているんだな、と。「どこかでうまくやっているんだろう」と思うことは、「まったくどこでもうまくやっていない」だなと、ボンヤリ思う深夜2時。
だからこそ本を作る仕事、原稿を書く仕事って、実はとてもやることがあるんではないかと思ったところで、寝るとします。おやすみなさい。




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