2013年12月12日

「レミーのおいしいレストラン」

料理が出てくる映画が好きでよく見るんですが、こないだ借りてきた「レミーのおいしいレストラン」がよかった。ネズミがフランス料理のシェフになるというピクサーらしい話は、ま、普通によかったのだけれど、何よりよかったのはこの映画の最後を締めくくる「アントン・イーゴ」という評論家による評論。批評にとって何が必要かという本質を語る素晴らしいもので思わず書き写してしまったので、ここに貼っておきます。

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評論家というのは気楽な稼業だ。
危険を冒すこともなく、料理人たちの必死の努力の結晶に審判を下すだけでいい。
辛口な評論は、書くのも読むのも楽しいし商売になる。

だが、評論家には、苦々しい真実がつきまとう。
たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとしても、料理自体のほうが評論より意味があるんだ。

しかし時に評論家も冒険する。その冒険とは新しい才能を見つけ、守ることだ。
世間は、往々にして新しい才能や創造物に冷たい。
新人には味方が必要だ。

昨夜、私は新しいものに巡りあった。思いも寄らない作り手による、素晴らしい料理を味わえたのだ。作品もその作者も美味しい料理についての私の先入観も、大きく覆した。これは決して大袈裟な表現ではない。まさに衝撃だった。

かつて私は「誰にでも料理はできる」というグストーシェフの有名なモットーをあざ笑った。でもようやく彼の言いたかったことがわかった気がする。誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が偉大な芸術家になってもおかしくない。

グストーのレストランの新しいシェフは、恵まれた環境で生まれ育ってはいない。だが、料理の腕においてフランスで彼の右に出る者はいまい。

近いうちにまた尋ねるとしよう。今度はもっとお腹を空かせて。
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「たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとしても、料理自体のほうが評論より意味がある」というのは、心に留め置きたい言葉。評論家よりも料理人が多数生まれる土壌を育むためにも、広まって欲しい考えだと思った。もちろん「料理」というのは、すべての創作物を言い表してのことですよ。



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2012年10月24日

『よみがえりのレシピ』

64shisya_main111.jpg先日『よみがえりのレシピ』という映画を観た。

この映画のテーマは、山形県の在来作物。練馬大根や九条ネギといった言葉なら知っている人も多いだろうけど、こういった地域に根ざした野菜を在来作物といいます。

《在来作物は何十年、何百年という世代を超え、味、香り、手触り、さらに栽培方法、調理方法を現代にありありと伝える「生きた文化財」である。しかし高度経済成長の時代、大量生産、大量消費に適応できず、忘れ去られてしまった》

この在来作物が、今、全国で姿を消しつつある。味は一定じゃないし、形も不揃いで流通に向かない。全国のスーパーに毎日に整然と陳列させるためには、同じ規格の野菜を並べたほうが都合いいからと、日本の各地で作られていた在来作物は姿を消しつつあるのです。

知らない人も多いけど、こういったスーパーで整然と並んでいる野菜の種というのは、ほとんどが種の会社から買っているものなんですよね。
芽が出て膨らんで花が咲いて枯れて種が落ちて芽が出る。
本来、自然とはこういったサイクルで自活しているものだけど、人間生活のわかりやすい利便性のために、作物を取ったらまた種を買ってきて植えている。
これは、なんか不自然だなと思うけど、じゃどれだけの人が、自然な循環型の生産活動の現場を知っているのかというと、ほとんど知られていないんじゃないかな。僕も知らなかった。で、この映画を観て、初めて知った。

山形の在来作物である「だだちゃ豆」や「甚五右エ門芋」を収穫した後、次のシーズンに植える種を選別する場面が出てくる。この選別で味も変わるから真剣ですと、農家の方が鋭いまなざしを送る。種を伝えるというこの真剣さが伝わってくる。
在来野菜を学校で育てる試みも紹介されていて、種をまいて野菜を食べて、そこで得た種を植えて、そこからまた芽が出る。こういったサイクルを子どもに体験させている。
実に大切なことだと思った。自然を理解するためにとても大事なことだと思った。

この映画の最大の見所は、焼き畑で作られた藤沢カブだと思ったなぁ。
山に火を入れて焼畑を行なうと、そこが芳醇な土地となって、特別に手を入れなくても自然と作物が育つ。映画では、この焼き畑と、ここに藤沢カブの種を蒔くシーンが出てきます。小さな小さな種。これをパッパッと蒔く。するとそこの斜面にずらーっと奇麗なカブが生える。実に感動的なシーンで、ちょっと鳥肌立ちました。

在来作物のことはもちろん、今の日本人が知るべきことがたくさん詰まった映画でありながら、楽しそうだし、美味しそうなのが、この『よみがえりのレシピ』のいいところ。美味しそうという部分は、山形の在来作物を活かした料理を作る「アル・ケッチァーノ」の奥田シェルに寄る部分が大きいのですが、いつかきっと行きたいと思った。あと山形でやってた「だだちゃ豆」の即売会のようなヤツにも参加したいぜ!

渋谷のユーロスペースで月曜の12時からの回で観たのだけど、客は30人くらいだったかな。狭い劇場なのに空席が目立っていた。映画の後、監督の渡辺さんが来て「みなさんの口コミでなんとかここを満員にしたい」と言っていた。いい映画だし、いい思いが詰まっていて、僕はきっとこの映画は満員になると思った。思いだけに偏らず、観て楽しめる映画になっているので、ぜひみなさんも足を運んでみてください。

*劇場などの情報は「よみがえりのレシピ」公式サイトで。

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2006年12月29日

硫黄島からの手紙


images.jpg見てみました。

丁寧な映画で、戦争のリアルな部分を上手に伝えているとは思ったけど、もっと大きなプラスαを期待していた僕としては、ちょっと物足りないというのが、正直な感想かなぁ。

『そのとき歴史が動いた』というNHKの番組をみんなが知っているのを前提で話しますよ。あの番組って、一通りその人物の紹介が終わった後、「最後にこんなエピソードを紹介してお別れです」なんて感じで松平アナが言ってからの最後がいいじゃないですか。というか、あの最後が大切じゃないですか。そこで紹介されるちょっとしたサイドストーリーからその人物の別の一面が見えるのが上手。

この『硫黄島からの手紙』にもそういうのを期待してました。戦争が終わって、それでその手紙がキーワードになって別の物語が紹介されると。それがないのが、僕のなかではがっかりかなぁ。ま、期待しすぎなのかもですが。
僕はそんな映画に詳しくないけど、これと同じレベルで上手に日本の戦争を描写した映画はあるんじゃないかな。比類なきって感じはあまりしなかったです。いい映画でしたけどね! やっぱこれをアメリカ人が作ったのは、ジェラシーというか、そういうのは感じますし。

僕としては、これを見た日本の若い映画監督が「じゃあ俺は南北戦争をテーマに撮る」とかそういう対抗心を燃やしていい映画を作ってくれればいいなぁと思いましたよ〜。
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2006年10月20日

Aとディア・ピョンヤン


pyonnyan.jpg近い将来ドキュメンタリーを撮ってみたいなぁ、なんて思ってたりしてます。

ま、ドキュメンタリーっていっても、動画ブログの延長って感じでね。子どもの運動会を撮ってたって、そりゃドキュメンタリーといえば、ドキュメンタリーなんで、そんな大層なものを考えているわけではないんですがね。

んでも、一流のドキュメンタリーって何ぞやと思って、前から見なきゃと思ってた『A』を見ました。

これ、森達也さんが、オウムの荒木広報部長を追ったものなんスよね。

オウムの中から見たニッポン社会といったスタンスで、端的にいえば、動物園の檻の中から見た人間の醜悪さが、鋭く描かれてるって感じでしょうか。オウムならなにをしてもいい。オウムなら糾弾されて当然といった感じで、例えばテレビのマスコミなんかが、すごい態度で取材をする。それを、オウムの中から撮ってると「どっちが正義でどっちが悪か」という、自分の中の認識バランスがおかしくなってきます。

有名な警察が自分で転んだのにオウムにやられたとして、公務執行妨害で引っ張るスクープシーンもスゴイ。昔、編集見習いをしてたときに、オウムも南青山の総本部に行って荒木さんを間近で見たこともあって、自分的にはすごく身近な問題として見られた。最後、荒木さんが(この人、京都の人なのな)実家の母親に会いに行くのを、森さんのカメラが見送るシーンも、圧巻。ふー。やっぱ、これ凄かったわ。

んでも、この映画、技術的には誰でも撮れそうとも思った。キングコングとかスターウォーズなんて絶対撮れないけど、これは撮れる。オウムに密着するという、とてつもない仕事だけど、技術だけをピックアップすりゃ、人間を撮っているだけだもんなぁ。マイケルムーアの映画もそうだけど、大切なのは、問題意識と自分なりの視点だよね。

そう考えると、これからカメラの性能があがり、You Tubeなどで発表する場所も整ってくれば、多くのドキュメンタリー作品が出てくるんじゃないかなって思うのね。

そんな今、注目しているのが「ディア・ピョンヤン」という映画。朝鮮総連活動に人生を捧げた両親と帰国事業で北朝鮮に帰った兄を持つ女性監督が、自分の家族を撮った物語なんス。

状況設定は特殊といえば特殊だけど、自分の家族を撮っただけといえば撮っただけ。でも、本当は、そういった各人が抱えるドラマってすごく雄弁でドラマチックなんだよなぁ。

ま、そんなわけで、近い将来、ドキュメンタリーブームが来ると僕は思ってるという話でした。はい。

※「ディア・ピョンヤン」については、「メディア・レボリューション」というブログが詳しいのさー。

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2006年08月26日

『時かけ』見たよ


ときかけ.jpgブロガー試写会などをやってて個人的に注目していた
『時をかける少女』。珍しく劇場まで行って見てきました。

率直な感想としては、いい映画だなぁと(´ー`)

概要としては、ヒロインと男2人の高校生3人の恋模様に
タイムトラベルの話が絡んでくるといった感じっすかね。

タイムトラベルというと、けっこう壮大な物語を想像しがちですが、そのタイムトラベル先というのが、2、3日の未来とか過去なのが新鮮。
脚本と演出が上手なせいでしょうが混乱せずにとてもすっきりと見られます。

また、同じシーンが何度も出てくるのですが、そこで
以前の謎がちょっとずつ解ける感じもグッジョブ。

ま、高校生3人の恋模様とは、すっかり縁遠くなった34歳の僕ですが、なんか見ていると、当時の恋模様なんかが、蘇ってきてね。いいんですよ。

あと、ヒロインが、今ではあまり見なくなった
ボーイッシュ系短髪元気いっぱい少女なのが
テクニカルヒット〜。

最初はなんか馴染めないんですが、見ているうちに
「おっカワイイ」とか思うようになって、最後は「大いにアリです!」と思うようになるんですよー。

思い出せば高校時代。「俺、髪短いの好きだな」なんて友達と話していたら、それを聞いていた女子生徒が、次の日に髪をばさっと切ってきたという、僕的武勇伝を思いだしたよ、僕ちん!

ま、それはさておき、ブログの口込み力で観客動員をぐいぐい伸ばしているこの映画。
『ゲド戦記』を見るなら『時をかける少女』に行っておけと断言しておきましょう。
posted by okataco at 19:24| Comment(0) | TrackBack(1) | DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月14日

ビジスタ

こないだ「彼女が水着に着がえたら」の
ことをここで書いたりしてましたが、
ソフトバンクパブリッシングの方が
続編をメルマガで書いてみませんか?
なんてお誘いをしてくださって、
「私をスキーに連れてって」編を
ビジスタというメルマガに寄稿させていただきました。
こちらから見られます。
http://www.sbcr.jp/bisista/mail/

えー、規定の文字数を多分にオーバーした
サービス品というか迷惑品?
になってますんで、気になるお方は
登録してみてくださいませ。

※僕がどうのこうのじゃなくって
切り込み隊長氏とかフェルディナンド山口さんとかの
原稿が読めるから、このメルマガお得っすよ!
ぜひ〜。無料ですかんね〜。



posted by okataco at 22:45 | TrackBack(0) | DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

彼女が水着に着がえたら


彼女が水着に.jpg諸般の事情で、ホイチョイムービーやら
『就職戦線異状なし』とかの、織田裕二が
やたらとしゃしゃり出てくるバブル時代の映画を見まくっているんスよ。

ま、中身がないとか、そんなことを今更言うつもりは
毛頭ないですが、この映画の中身のなさといったら尋常じゃないね!

『彼女が水着にきがえたら』

着がえたら……って、思わせぶりなこと言いやがって! なんもねーじゃねーか(笑)

どんな話か、知りたくないかもしれませんが、教えてあげますね。

ま、織田裕二が、社会人のクセしやがって、なんか湘南あたりの海とかで
谷啓とか田中美佐子なんかとヨットに乗ったりして楽しそうなんすよ。

こいつら何をしているのかと言うと、宝探しをしているんですわ。
んで、適度に盛り上げるために、ライバルチームなんかもいてね、
宝を探す競争をしておるんですよ。仕事もせんと。
「仕事をするより、少年のままで夢を見続けられる男のほうが素敵よ」
とか、田中美佐子が言っちゃってね(笑)

ま、そんでふらっと海にやってきた原田知世とかといっしょに
宝を探すも取り逃がすんですよ。そすっと谷啓が
「宝はもうひとつある。この地図のところへ行け」とか思わせぶりなことを言ってね。
んで、中華街の怪しい店とかに行くと
ヒゲのオヤジが「ふむ。わかった。んじゃここへ行け」とか言ってまた
地図をくれたりするんですわ。そんなことをぐるぐる繰り返してね
どんな宝なんだろうと、ちょっとでも好奇心を持ったことをチト後悔しちゃったね。

だってさ、そこで指示された宝箱みたいなのを開けると
「お前の隣にいる女性が何よりの宝物だ」って紙が入ってるんだよ。

どーなのよ、これ! 
ちょっと卒倒しそうになっただよ。。。

なんて調査をしていたら
バブル再び!ホイチョイ8年ぶり新作映画なんつー発表が〜。こ、これは興味深い。。。


posted by okataco at 08:22| Comment(2) | TrackBack(0) | DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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